発達障害共和国にて
読み切りゲストコラム 第1回 (ゲスト:こよりさん)
人間を50年もやってると、いろんなことが起きる。生まれた時に死に掛けて、親をはらはらさせてからこの方、いろんなことを乗り越えてきた。
小さいときから「変な子」で、親の添い寝を嫌ったり、特定の物しか食べなかったり。自分で「自分が変だなー」と気づいたのは 幼稚園で集団生活をした頃から。みんなは先生の言うことがわかって行動できるのに、私だけ先生の言うことがわからない。言語の遅れがあったわけではなく、「あいまいな言い方」が全くわからなかった。「みなさん」とは誰と誰を指すのか?「早くしなさい」とは何をすることなのか?その度、立往生で先生を困らせた。
学校へ行くようになっても、それは同じ。集団&あいまい言葉に慣れなくて、いつもマイペースで本ばかり読んでいた。学校の本は知ってることばかりで退屈だったので、家から持参した本を読んでいた。その頃のお気に入りは、父が持っていた「絵入り民法事典」。何をしたら法律違反で、何の罰則が適応されるのか書いてあったから、とってもわかりやすい。「大人はいいなあ、こういう本があって。子供にも社会のルールや学校のルール書いた本が欲しいよ」そう思っていた。
12歳の時、いつものように立ち寄った市立図書館で、「高機能自閉症」について書かれた本を読んだ。カナーとかアスペルガーについて初めて知ったのは、この本だ。「あー。全部私にそっくりだ」というわけで、周囲への違和感の原因が解けた。
「そうだ、私は、自閉症だったんだ!」
というわけで 普通の暮らしが合わないのも、このせいだったんだなあ、と納得。
その後は、変人として自分の道をどんどん切り開いていくことになった。「こよりちゃんって何か変!」といじめにあっても「いじめるほうがオカシイんだ。ふん!」と受け流す。その後は、マイノリティとしての自分に目覚め、差別にあってる他の障害者の人の本を読んだり、講演会を聞きにいったり。そんな風ですごした。
就職も自分で決めたけど、特性にあってるところで、マイペースで仕事ができるところ。音がうるさくないところ。そこを見つけてバリバリ働いた。自閉のパワー全開ってことで、人の三倍働きました。これは結婚して辞めるとき、上司から聞いた言葉。自分ではそんなに働いてるとは思ってなかった。そもそも人と比べるって感覚なしなので。
結婚してからは夫の家族と同居。そのうち長男が生まれ、その後、次男が生まれ、「どっちの子もやることが私に似てるぞ」と病院に行って、どっちも発達障害と診断され、「やっぱり自分も診断して欲しいなあ」と、成人の発達障害を診ている病院に行って即日診断。「はい、あなたアスペルガー症候群ね」
親子3人発達障害。社会の中で浮きつつも、家に帰れば、そこは発達障害共和国。家族の半数以上が発達障害なんだから、ハッタツ文化圏ということで。親子ともども、毎日、お気楽に過ごしている。
今は長男・次男とも就職し、毎月生活費&お小遣いをいただく毎日。子育てもいろいろあったが、「発達障害だからって、あきらめることは何一つない」と信じて子供を応援してきた。この先どうなるかは、もう子供たちにまかせるとして、私も自分の人生を謳歌している。
プロフィール
こより
アスペルガー症候群&ADD。リウマチ、双極性感情障害、その他もろもろの持病と障害を抱えつつ、毎日活発に行動中。学習障害の長男、知的障害を伴う自閉症の次男、定型(なのかな?)の夫と同居。各地で当事者講演や子育て講演を行っている。
*こよりさんの著書・共著*
*こよりさんのブログ*
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